年会長挨拶

謹啓、時下ますますご清栄のことと心よりお慶び申し上げます。この度、日本薬物動態学会第41回年会を、2026年11月16日(月)から19日(木)までの4日間、筑波研究学園都市の中央に位置するつくば国際会議場で開催する運びとなりました。つくば市での開催は、コロナ禍前の2019年に続き2回目になり、この間、多くの変革と進展を経て、再び、「科学技術の街」として知られるこの地で本会を催すことを大変嬉しく思います。

薬物動態学という学問は、高感度・高精度定量分析法で得られた医薬品の生体内の動きを分子・遺伝子レベルで把握すると共に、有効性や安全性と生体内濃度との関連性を数理学的モデルに基づき論理的に検証・説明し、ヒトでの治療効果や副作用リスクを定量的に予測する非常に重要な役割を担い、基礎研究から臨床応用・レギュラトリーサイエンスに至るまで幅広い科学領域をカバーしております。この分野は、関連研究分野の知識の進展と最先端技術の革新的進化によって支えられ、薬物動態を評価し予測するための技術が飛躍的に発展してきました。さらに、新しい知見の発見や学問の体系化が進む一方で、創薬モダリティの多様化に伴い、薬物動態研究においても更なる革新が求められています。

今回の年会のテーマは「守破離:MICHI(未知・路)を切り拓くADMETサイエンスの新KEY軸」と設定しました。従来の薬物動態研究の深化と共に、昨今、FDAが推進するNAMsをはじめとする新規技術基盤との融合、学際領域への拡充・連携から生み出される新しい薬物動態研究分野の展開等、近年、薬物動態研究者が活躍する場は加速度的に拡充しつつあります。今回の年会では、多様な専門性・背景を有する世界中の産官学の研究者が一堂に会し、最先端の見識・議論を交えることで、薬物動態研究において次世代に繋がる新しい科学的方法論の可能性や創発的なイノベーションの方向性を模索する機会となるよう尽力する所存であります。また、学術的な討議に加えて、参加者同士の有意義な交流を深めるための多様なセッションや交流の場を企画します。こうした知的・人的交流が未来の新たなアイデアや研究協力、技術/製品開発のきっかけとなり、薬物動態学のさらなる進展、新薬開発における患者様貢献に繋がることを強く期待しております。

本会に参加頂く皆様が、アカデミアおよび製薬企業における薬物動態研究の将来動向、CRO業界の創薬支援戦略、また、夢溢れる学生の皆様がキャリアプランを考える一助になれば幸いです。本年会が知識の深化と新たなつながりの場となるよう、全力を尽くして準備を進めて参ります。引き続きのご支援とご協力を賜りますようお願い申し上げると共に、一人でも多くの方のご参加を心よりお待ちしております。

謹白

2025年12月吉日

日本薬物動態学会第41回年会
年会長 小森 高文
(エーザイ株式会社 DHBLバイオファーマシューティカル・アセスメント)